Total Today Yesterday創作の中から詩/詞のみを掲載したページです
2004-04-04 20040329
鮮やかな黒に溶ける影 水族館の水が肺を青く満たす 君達の色が命の無いものに滲み出て この世界はもっと綺麗になる
ゆるやかなカーブの向うに目指す砂浜があって 自転車に乗った僕の体が右に左に さくら丸が座礁した海辺へ急ぐ 海の色と夕日の色と雨に濡れた立体眼鏡 何も見えなくなって、立ち止まって、何気なく振り返ったんだ
ノートの一頁目にだけ貼り付けた新聞の切り抜き 残りは全部白紙のまま 台風の中、たった一隻で港を出て、誰も帰ってこなかった さくら丸は方舟みたいに、波打ち際に横になっていた 夜、月明り 彼女が届けた者達の日記を僕は書こうと決めた
十二月二十九日 天候 晴 速度は時速四キロ 北北西に進んでいる 学校まで、およそ九時間 朝礼には間に合いそうにない 宿題も忘れている でも学校には行きたいなあ 夜の海って、まるで黒い絨毯みたいだって、教えてあげなきゃ
幸せと差し違えてでも、差し違えてでも 悲しみと差し違えてでも、差し違えてでも 僕はあの人の身代わりになっていたいんだ 自転車が石に乗り上げて、ガードレールの下に落ちる 忘れてしまうのか、忘れてしまえるのか 人の色は赤、海の色は青 僕の絵の海は紫 そっちの方が綺麗だと思うんだ 光が色を飲み込むように 絵の具が色を吸い込むように 差し違えてでも、差し違えてでも 僕の見る世界が 僕の見る朝焼けが 僕の見る風が 僕の見る海岸が あの人が見る世界に ゆっくりと溶け込んでいって あの人が見た世界に ゆっくりと混ざっていって ゆるやかなカーブの下で気が付くと 真っ直ぐに僕を見下ろす光の束 何もかもが一緒になって カラカラ回る車輪の音を聴きながら もう学校には着いたのかなって 足下の砂の感触を 確かめながら
最近はそれなりに風景を意識して書いている。