世界は大きく五つに分かれている。それらは「野(や)」と呼ばれていて、それぞれが象
徴的な形状をしている。
・「鱗貝野」
物語はここから始まる。形状は巻き貝。硬質な殻のような壁が螺旋状に並んでいるが、中
心部を除いて天蓋にあたる部分は崩壊している。中心にはエンペロールと呼ばれる政府の中心となる機関を擁する塔が屹立している。
この世界においては「原建造物」と呼ばれる古代から存在する謎の建造物が大きな意味を持っているのだが、これらは無機物の遺伝子を持つ物質で成っており、
近代になって解析されてエンペロールの様な塔は遺伝子の操作と無機物の成長を促す処置によって作られた。これが「遺伝子建築」である。